音楽、CDのこと

グラズノフ 交響曲 第1番

グラズノフ 交響曲 第1番 変ホ長調
フェドセーエフ指揮 モスクワ放送交響楽団

 グラズノフは、リムスキーコルサコフ、ボロディン、チャイコフスキーよりあと、グリエール、ラフマニノフと同世代、そして彼のあとは、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィッチと続くロシアの作曲家です。
交響曲第1番は何と15歳の時の作。「スラブ」の別名あり。
すごく深みがあるでもなく、インパクトがあるでもないのに、ちょくちょく聞いています。好きなんです。
15歳ならもっと気負った音楽になるんじゃないのかなぁ、と思うんだけど逆に落ち着いた雰囲気。そしてなぜか懐かしいような響きもあわせ持つ。この取り合わせは不思議なんです。
素朴な自然の情景が音になったよう。第3楽章にも控え目ながらひっそりとしたたたずまいがあります。チャイコフスキーのような一種神経質な感じはありません。
 このCD、もう一つ特徴的なのはフェドセーエフの演奏です。音色はもっさりしていて、洗練されてない。アクセントもはっきりせず、基本レガート奏法を心がけているかのよう。
それに、最初一番違和感があったのが終楽章。冒頭オーボエがテーマを2度吹いたあと堂々とした主部に突入するんですが、ここをまったくテンポを変えずに進んでいくんです。他のどのCDも主部に入る時はテンポをグッと落として強調してくれるという、聞かせどころなんですよね。さらにフィナーレもすごくあっけない終わり方。
フェドセーエフのグラズノフ全集の他の場面でもこんなそっけない表情がちょくちょく登場するんです。わざとやってるな。
ところが、こんな野暮ったい演奏に不思議に無意識に引かれていき、ヤルヴィ、スヴェトラノフ、尾高、セレブリエールよりこのCDを聞いてしまうんです。
これがロシアの響きなのかもしれません。ロシアのぬくもりなのかもしれません。