酸化還元反応式の作り方
2013年6月2日 14時27分 まず、「還元剤は、相手に電子e-を与える」、「酸化剤は、相手から電子e-を受け取る」、を押さえて下さい。
では、過酸化水素水溶液と硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液とを混合した時の酸化還元反応式の作り方を順を追って丁寧に説明していきます。
① H2O2 → 2H+ + 2e- + O2
この式は、右辺に電子e-があります。この e- は相手に与える e- なんです。
ここ大丈夫ですか?
また、この反応は、相手に e- を与えるので、 H2O2 の還元剤としての反応式と言えます。
(これだけつまり H2O2 だけでは起こらないので、半反応式なんて言います)
② MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O
この式は、左辺に電子e-があります。この e- は相手から受け取る e- です。
これも理解しておいてくださいね。
この反応は、相手から e- を受け取るので、 MnO4- の酸化剤としての反応式と言えます。
(これも MnO4- の酸化剤としての半反応式と呼ばれます)
もう一つ、MnO4- は酸性溶液中で強い酸化作用を示します。よって硫酸等の酸を混ぜて使用します。ですから、この反応式の左辺に酸性の元 H+ が加えられているんです。
③ ①式で出される e- を、②式ですべて受け取るように e- の係数を揃えます。
5H2O2 → 10H+ + 10e- + 5O2
2MnO4- + 16H+ + 10e- → 2Mn2+ + 8H2O
④ さて、H2O2 、MnO4- 、 H+ を混合してみましょう。上の2式を、左辺、右辺どうし加えてみて下さい。
5H2O2 + 6H+ + 2MnO4- → 2Mn2+ + 8H2O + 5O2
これでほぼ完成なのですが、上の反応式の左辺中の H+ 、 MnO4- 、はそれだけで単独で存在する物質ではないので、存在する物質を使って書き直します。
⑤ 6H+ は 3H2SO4 、 2MnO4- は 2KMnO4 、と書き直しましょう。
5H2O2 + 3H2SO4 + 2KMnO4 → 2Mn2+ + 8H2O + 5O2
⑥ あれ? 左辺にある SO42- 、 K+ はどこに消えたのかな? 消えてしまってはおかしいですから右辺にも登場させましょう。
5H2O2+3H2SO4+2KMnO4→2Mn2++8H2O+5O2+3SO42-+2K+
⑦ 最後に、右辺の 2Mn2+ と 2SO42- 、を結合させて 2MnSO4 、
2K+ と SO42- を結合させて K2SO4 、と書き直しましょう。
5H2O2 + 3H2SO4 + 2KMnO4 → 2MnSO4 + K2SO4 + 8H2O + 5O2
お疲れ様でした! 過酸化水素水溶液と硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液を混合した時の酸化還元反応式が出来ました!
各自1つ1つ確認しながら、ぜひ紙に書きながら最後まで進めていってみて下さい。
この反応は、入試にも頻出するものです。