化学

カテゴリ:センター試験

「反応熱は右-左」の考察

熱化学の勉強で
反応熱 = 生成物の生成熱の総和 - 反応物の生成熱の総和
が教科書に載っています。
これについての解説は教科書には載っていないのですが、
受験勉強には欠かせない特効薬の一つです。
略して「右-左の式」として教えています。
今年のセンターにもこれで即答できる問題が1問ありました。
さて、何故この式だと言えるのでしょうか?
また、東進予備校の解説にあった
反応熱 = 反応物の燃焼熱の総和 - 生成物の燃焼熱の総和
の式も、なぜ言えるのでしょうか?
今回のセンター試験の問題を題材にして考えてみましょう。

エチレンC24とエタノールC25OHに関する熱化学方程式
24 + H2O = C25OH + QkJ ・・・(ア)
について、下の図を見て下さい。

前回、「C24 + H2O」 と「C25OH」のの化学エネルギーの順位はわからないと書きました。
そこで資料で調べたのですが、C24の燃焼熱の方がC25OHの燃焼熱より大きい事がわかりましたので、上の図のような関係になります。
このエネルギー図を見れば、上式(ア)の反応熱Qは、
①-② つまり 「生成物の生成熱の総和 - 反応物の生成熱の総和」 が明らかです。
また、④-③ つまり 「反応物の燃焼熱の総和 - 生成物の燃焼熱の総和」 になることも明らかです。

考えてみると、生成熱は単体からの反応熱ですから、エネルギー図では単体は化合物の上になります。(例外はありますが)
一方、燃焼は例外なく発熱なので、エネルギー図では燃焼生成物は化合物の下になります。
あとは、上のようなエネルギー図を描いてみれば明らかですね。

さて、ここで提案です。
「生成熱なら右-左(単体以外)」!
「燃焼熱なら左-右(燃焼物以外)」!
と覚えたらどうでしょう?

2013センター化学 第2問「9」の補足



前回の解説では、
 エネルギー図を
 1番上に C24 + H2O(液) + 3O2
 その下に C25OH(液) + 3O2
 その下に 2CO2 + 3H2O(液)
 と描いてみると、
 C24の燃焼熱と、C25OH(液)の燃焼熱の差が答になります。
ということだったのですが、
この時のエネルギー図について、ちょっと補足をします。
燃焼は発熱反応なので、化学エネルギーの関係は
「C24 + H2O(液) + 3O2」 > 「2CO2 + 3H2O(液)」
「C25OH(液) + 3O2」 > 「2CO2 + 3H2O(液)」
が明らかです。
しかし、「C2H4 + H2O(液) + 3O2」 と 「C25OH(液) + 3O2」 の関係は
ここでは分かりません。

そこで、次の2パターンに分けて考えてみましょう。
(ア) 「C24 + H2O(液) + 3O2」 > 「C25OH(液) + 3O2」 なら


(イ) 「C25OH(液) + 3O2」 > 「C24 + H2O(液) + 3O2」 なら
となります。
どちらの場合でも、問のQを求めるためには、
「エチレンC24の燃焼熱」と「エタノールC25OH(液)の燃焼熱」
が分かれば良いと分かります。
よって、正解は①です。

また、生成熱で求めようとすれば、
「エチレンC24の生成熱」と「エタノールC25OH(液)の生成熱」と「水H2Oの生成熱」
がすべて必要となります。
これは、解答の選択肢にありません。

以上が、第2問「9」の補足です。

2013センター化学解説 第4問

2013センター化学本試.pdf

「24」「25」「26」教科書そのまま!
「27」いつも通り。
 シクロアルケンの一般式は、Cn2n-2
「28」いつも通り。
 ③はベンゼンっぽく見えるが、マレイン酸と分かったでしょうか?
「29」いつも通り。
「30」いつも通りだが、グラフでの出題。
 常温でC4H10ブタンは気体。炭素数5以上から液体になる。
「31」いつも通りだが、このような設問は初めて。しかし簡単。
「32」いつも通り。
 ④アンモニア水が少ないと、Ag2O(暗褐色)の沈殿を生じる。
   アンモニア水が多いと、[Ag(NH32+(無色)の溶液になる。
   これが銀鏡反応の試薬となる溶液。(アンモニア性硝酸銀溶液)
「33」いつも通り。
 酢酸エチルCH3COOC2H5 88gは1モル。
 これは酢酸1モルから生成するので
 1/2.0 × 100 = 50%

2013センター化学解説 第3問

2013センター化学本試.pdf

「15」いつも通り。
 フッ化水素の発生は、不揮発性酸による揮発性酸HFの追い出しによる。
 強酸HClによる弱酸HFの追い出し、と勘違いさせるやや意地悪な問題。
「16」いつも通り。
 ケイ素は二酸化ケイ素を還元して得る、はあまり出てこなかったので迷う?
「17」「18」いつも通り。
 ここでは、両性酸化物2種を選ぶのではなく
 酸性酸化物と両性酸化物を選ぶ。
 ここには両性酸化物は1種しかないけど
 思い込んでしまうとはまります。
「19」いつも通り。
 H2SとI2の反応が起こるなら、H2Sは還元剤にしかならない。
 つまり、H2Sは酸化される。
「20」いつも通り。
 Cu2+は、酸性、H2SでCuSの沈殿生成
「21」いつも通り。
 FeCl3 → Fe(OH)3 → 1/2 Fe23
 FeCl3は0.008モル、Fe23は0.004モル
 最後にFe23の式量160をかけて答。
「22」いつも通り。
 濃硫酸とNaClは塩化水素発生。
「23」いつも通り。

2013センター化学解説 第2問

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「8」いつも通り。
 右-左ですぐ答出る。
「9」これが今回の関門だと思う。
  初めてのタイプ。 難問と判定されるのでは?
 結論は、エネルギー図を描いてみて下さい。
 1番上に C24 + H2O(液) + 3O2
 その下に C25OH(液) + 3O2
 その下に 2CO2 + 3H2O(液)
 と描いてみると、
 C24の燃焼熱と、C25OH(液)の燃焼熱の差が
 答になることがわかります。
 これに気づけばあっけないんですが。
 熱化学方程式を全部書いていると時間かかりそうです。
「10」いつも通り。
 ただ、SnCl2は通常還元剤なので、これに引っかかりそう。
 しかもSnCl2はそれほど出題されない。
 でも、反応式を落ち着いて見れば簡単。
「11」いつも通り。
 ⑤は当たり前過ぎて疑うかも。
「12」いつも通り。
 水酸化カルシウムは0.001モルで、OHは0.002モルと進めば、
 中和熱0.002モル分、とわかる。
 小数点以下けたの多い小さい値の計算は慎重に。
「13」いつもとやや違うパターン。
 これが次の関門? でも新しい問題ではない。
 1.ある程度放電した、はまったく関係なし
 2.充電する時は、外部電池の負極は鉛蓄電池の負極につなぐ
 3.充電時、鉛蓄電池の負極は、
  PbSO4 → Pb となるので、電子2モルで96g減
 4.同時に、電子2モルで、
  電解液中の SO42- は、2モルつまり192g増加する。
  (負極から1モル、正極から1モル、計2モル増加)
 これで答えが出ます。
 1.2.4.に気づくかどうかですね。
 もう一つ、
 (+192mg ,-96mg)の座標を見つけるのに
 慣れていなくて、ちょっと戸惑うかも。
「14」いつも通り。
 H2O + e → OH+ 1/2 H2 が書ければ大丈夫。
 図が大ヒントなので書けますね。
 NaOH = OH = 1/20 モル。つまり e も 1/20 モル。
 あとは、I × 3600 × 1/96500 = 1/20
 ∴ I ≒ 1.34(A) 

2013センター化学解説 第1問

2013センター化学本試.pdf

第1問
「1」いつもの練習通り。
「2」いつも通り。<結合に使う>に注意。
「3」いつも通り。
「4」いつも通り。1つの式を立ててから計算した方が絶対に早い。
 1400 × 49/100 × 1/98 = 7%
「5」いつも通り。molで比較しよう。
「6」これがいつもとちょっと違う。
 M/MOx = 0.63
 55/55+16X = 0.63
 ∴ X ≒2
 Xを求めるタイプは初めてで、しかも答えが割り切れないので焦ったのでは。
「7」いつも通り。
 ワインが酸化する=エタノールが酸化して酢酸になり酸っぱくなる。