音楽、CDのこと

音楽について、できるだけ自分の言葉で書いていきたい

さようなら! マゼール (1)

2014年7月13日 アメリカ在住の大指揮者LORIN MAAZEL(ロリン・マゼール) が、自宅で亡くなりました。
84才。今年の春に体調を崩し、回復することなく逝ってしまいました。
自分は、マゼールが30代から40代ごろの鮮烈な演奏に強く惹かれていました。
最初に聴いたマゼールの録音ですが、
1963年録音のウィーンフィルとのチャイコフスキー「悲愴」、1971年録音のニューフィルハーモニアとのムソルグスキー「展覧会の絵」から聞き始めたのを覚えています。
当時は中学生でしたから、FM放送を録音したテープ(オープンリール!)を大切にくり返し聞いていました。
同曲異演の聞き比べなんて出来るようになったのは、ずっと後になってからでしたが、この2曲の録音は今でもCDで聞き返したりしています。
マゼールの演奏を大量に聞けるようになったのは、大学生になって無料の試聴室に通うようになってからでした。
上野の東京文化会館4Fに音楽資料室があり、楽譜などと共に膨大な数のLPレコードが貯えてあるんです。国内で市販されたクラシックのLPはもれなく揃っているようです!
この膨大なLPレコードのリストを閲覧して、希望レコードを用紙に書いて受け付けに提出する訳です。
自分の順番が回ってくると呼び出され、指定された座席でヘッドフォンを耳にあてて待っていると、間もなく曲が流れてきます。
LPレコード1枚分聞き終わると席を立たないといけませんが、次のレコードを聞きたければ、リクエスト用紙をもう一度書いて出せばいいんです。
同じ曲を違う演奏で一日中聞き続けて、係の方に呆れられたこともありました。
(現在はCD、DVDもあるようです。サービスも続けられています)

プロコフィエフ ピアノ協奏曲 第2番

プロコフィエフ ピアノ協奏曲 第2番
M.ベロフ K.マズア指揮ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

 自分の中で最も過激なピアノ協奏曲として、バルトークの第2番と共に好きな曲です。
半年ほど前、吹奏楽部オーボエの生徒と「ラヴェルの協奏曲(ト長調)の第2楽章いいよね!」という話になりました。イングリッシュホルン(オーボエ族)のすご~くきれいなソロがある楽章なんです。
で、その生徒はラヴェルのピアノ協奏曲のCDを買い、そのCDのカップリング曲にプロコフィエフのピアノ協奏曲が入っていて、その曲も面白くて何度も聞いてます! と言うんです。
「プロコフィエフ?、じゃあ第3番でしょ?」と聞くと、「いえ、第2番です!」と返してきたので凄くびっくりしました! プロコフィエフのピアノ協奏曲と言えば第3番がとびぬけて有名なんですね。生徒とこんな面白い会話ができるチャンスはそうないと思うんです。
このCDはユンディ・リの独奏、小澤征爾指揮ベルリンフィルのもので、貸してもらって聞いてみました。オケはさすがでしたが、ピアノは小奇麗にまとまっている印象でした。
自分が初めて聞いたのは、ロジェストヴェンスキー夫妻の強烈なライブ放送でした。
さて、この曲は、弦のピツィカートのあとすぐにピアノが少し不安げなメロディーを奏します。ゆっくりしたテンポはこの最初の部分だけで、あとの他の楽章は全部早いんです。アダージョ系の部分はありません。また、曲全体を支配しているのは、この不安げなほの暗い雰囲気です。エネルギーはあるけど、解決に向かって盛り上がっていくという古典的な曲ではないと思います。
第2楽章は快速調で短く、第3楽章も速いんですが、やや軽めの雰囲気(でも明るくはない)ですから強烈な第4楽章とは充分なコントラストがあると感じます。
この第4楽章は激烈なだけでなく、瞑想的な部分もあり、この楽章だけでも聞きごたえ充分で手に汗握ります。そして、最後も突然終わるという型破りな曲。面白いです!

グラズノフ 交響曲 第1番

グラズノフ 交響曲 第1番 変ホ長調
フェドセーエフ指揮 モスクワ放送交響楽団

 グラズノフは、リムスキーコルサコフ、ボロディン、チャイコフスキーよりあと、グリエール、ラフマニノフと同世代、そして彼のあとは、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィッチと続くロシアの作曲家です。
交響曲第1番は何と15歳の時の作。「スラブ」の別名あり。
すごく深みがあるでもなく、インパクトがあるでもないのに、ちょくちょく聞いています。好きなんです。
15歳ならもっと気負った音楽になるんじゃないのかなぁ、と思うんだけど逆に落ち着いた雰囲気。そしてなぜか懐かしいような響きもあわせ持つ。この取り合わせは不思議なんです。
素朴な自然の情景が音になったよう。第3楽章にも控え目ながらひっそりとしたたたずまいがあります。チャイコフスキーのような一種神経質な感じはありません。
 このCD、もう一つ特徴的なのはフェドセーエフの演奏です。音色はもっさりしていて、洗練されてない。アクセントもはっきりせず、基本レガート奏法を心がけているかのよう。
それに、最初一番違和感があったのが終楽章。冒頭オーボエがテーマを2度吹いたあと堂々とした主部に突入するんですが、ここをまったくテンポを変えずに進んでいくんです。他のどのCDも主部に入る時はテンポをグッと落として強調してくれるという、聞かせどころなんですよね。さらにフィナーレもすごくあっけない終わり方。
フェドセーエフのグラズノフ全集の他の場面でもこんなそっけない表情がちょくちょく登場するんです。わざとやってるな。
ところが、こんな野暮ったい演奏に不思議に無意識に引かれていき、ヤルヴィ、スヴェトラノフ、尾高、セレブリエールよりこのCDを聞いてしまうんです。
これがロシアの響きなのかもしれません。ロシアのぬくもりなのかもしれません。

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昨日届いて聴き始めました。
ベートーヴェンの第1交響曲、シューベルトの大ハ長調交響曲2種、ベートーヴェンの第2交響曲、ドビュッシー海とイベリア、ブラームス第3交響曲、etcを聴いてみました。
早いテンポで正確な合奏、強いアクセント、は世評の通りですが、
気づいたのは、弱音指定の部分をやや強めに奏する傾向があるのでは?
これにより、良くも悪くも、より明快な印象になるような気がします。
たとえば、ブラームス第3番の第2楽章です。
クラリネットのテーマも、それを支える低弦も強めではっきりしています。
このような楽章でも立体感を感じられる演奏スタイルではないでしょうか?
粘りのあるドイツ風のブラームスが最近は大好きなんですが、
これはこれで上手くいってると思います。
さて、今日は何を聴こうかな!