化学授業ふり返り

2013年6月の記事一覧

電気分解で生じる物質

 電気分解の陰極、陽極で生じる物質は何か? と聞かれた時に、場合分けをして考えなければいけません。
OHなら分解して、SO2-なら分解せず代わりにHOが分解する・・・
量関係の問題も良く出されるので反応式も重要ですね。
「はぁ、これ覚えるのかぁ・・・」と思いませんでしたか?



 それでは、入試に出るものに限って、思い切ってまとめてみましょう!!

<陰極>
 ①イオン化傾向の小さな金属Cu2+、Agなどは、電子を受け取り単体の金属として析出。
  ここで、「水溶液中なら金属析出はCu、Agだけ」としてOK!
   Cu2+ + 2e→ Cu
   Ag+ e→ Ag
 ②イオン化傾向の大きな金属Naなどは、電子を受け取らず、代わりにHOが電子を受け取りH発生。
  ここで、「水溶液中で、Cu2+、Ag以外の金属イオンならH発生」としてOK!
   2HO + 2e→ 2OH+ H
 ③酸の水溶液は、Hが電子を受け取ってH発生。
   2H+ 2e→ H
 ※ここで、②③を良く見ると2モルのeで1モルのHが発生していますね?
  つまり、センター試験なら③の反応式だけ覚えておけばいいんです! (③の反応式で考える時は、HOの電離によるHを使ったんだからOHが残っていく、pHが大きくなっていく、のも忘れないで!)
  つまり、まとめるとこうですね!
  ◆ Cu2+、AgならCu、Ag析出。それ以外はH発生 ◆

<陽極>
 ①ハロゲンのイオンCl、Br、I は電子放出して単体生成。
   2Cl→ Cl↑ + 2e
 ②OH は電子放出してO発生。
   4OH→ 2HO + O↑ + 4e
 ③NO、SO2-は、電子放出せず、代わりにHOが電子を放出してO発生。
  2HO → 4H+ 4e+ O
 ※ここで、②③を良く見ると4モルのeで1モルのOが発生していますね?
  センター試験なら③の反応式だけ覚えておきましょう!(この時②③どちらもpHが小さくなっていきますね?)
  では、まとめましょう!
  ◆ ハロゲンイオンならハロゲン単体生成。それ以外はO発生 ◆

<融解塩電解の陰極>
 ①上の水溶液中では電子を受け取らなかった金属イオンが電子を受け取ります!
  他に電子を受け取るものがいないんです!「さあ、電子受け取れ!」って感じですね。
   Na+ e→ Na
   Al3+ + 3e→ Al
  ついでに、これらの金属が熱い液体で生じてくる!様子を想像しておくといいですね。

<融解塩電解の陽極>
 
 ①AlOの融解塩電解では酸化物イオンO2-が存在し、これが電子を放出してO発生。
   2O2-→ O↑ + 4e  
  この式はアルミニウムの電解製錬の問題で考えるんですが、
  この時の陽極は黒鉛Cを用いますので、発生したOはCと化合します。
  結局、COまたは CO が発生します。
   C + O2- → CO↑ + 2e
   
   C + 2O2- → CO↑ + 4e

<陽極が溶けるケース>
 ①陽極がCu、Agの場合は、電極自身が電子を放出し、溶けてしまいます!
   Cu → Cu2+ + 2e
 ※イオン化傾向の小さいCu、Agが溶けるんですから、これ以外の金属でも溶けるはずですね? でも、Pt電極は溶けませんね。また、これ以外の金属電極は出題されません。
  あれ? イオン交換膜法の電極はFeだったんじゃない? 大丈夫! ここでFeは陰極として使われています。陽極は炭素電極です。

<大まとめ>
 ①発生する気体は H、Cl、Oだけ。
 ②析出する金属は、Cu、Ag だけ。
 ③融解塩電解の時だけ、析出する金属は、Na、Al 。
 ④アルミニウムの電解製錬の陽極は、COまたは CO 発生。
 ⑤ I、Br析出の時は Clに準じて考えれば良い。

<最後に量関係です>
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電気分解の基本

 下図は、CuCl水溶液の電気分解です。
電池が外に取り付けてあり、「電池の(-)から電子が流れ出てくる」ところに注意して下さい!


 ①電池の(-)から出てきた eは、電気分解層の陰極(-)に入り、
  この eは水溶液中の Cu2+ に渡されます。
  Cu2+ は eを受け取り、 Cu となり陰極板上に析出します。
   Cu2+ + 2e→ Cu

 ②電気分解層の陽極(+)から電池の方に eが流れていきます。
  では、陽極の eはどこから供給されるのでしょう?
  溶液中の Clですね。 Clが陽極に寄ってきます。
  Clは eを陽極に渡し、 Cl 、そして Clとなり気体として発生します。
   2Cl→ (2Cl + 2e) → Cl↑ + 2e
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電池の基本

 電池の基本は、「2つの異なる金属を電気を通す水溶液に浸す」です。
下図のダニエル電池を見ながら復習してみましょう。



 ①イオン化傾向の大きい方の金属(Zn)が陽イオンになって水溶液(電解液)中に溶けだす。
   Zn → Zn2+ + 2e
  金属は、陽イオンになるとき電子eを置いていく。
  このeが導線にあふれ出てくる。
  だから、この金属(Zn)の極板が負極(-)になります。

 ②負極からあふれ出たeは、電球を通って正極に行きます。
  eは、溶液中の陽イオン(Cu2+)に渡され、Cuが正極上に析出します。
   Cu2+ + 2e → Cu
 ※一般的な電池ならここまで押さえておけばOKです!
 
  
  ダニエル電池の場合、もうちょっと考えてみて下さい。

 ③負極側では、陽イオンが多い状態(Zn2+が増えた)
  正極側では、陽イオンが少ない状態(Cu2+が減った)
  ですね?
  そこで、陽イオン又は陰イオンが素焼き板を通って移動します。
  これで負極側の+と-のつり合い、正極側の+と-のつり合いがとれます。
  つまり、Zn2+が負極側から正極側へ移動する。
  また、SO2-が正極側から負極側へ移動する。
  となります。(SO2-の移動だけで考えてもOKです)
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金属のイオン化傾向と反応性

 金属のイオン化傾向、覚えやすいでしょう?
「貸そうかな、まあ、あてにすんな、ひど過ぎん借金 (にしといてね)」
この語呂合わせはわりとマシな感じしませんか?
「K、Ca、Na」は、「借りようかな」の方がいいかも。すると「借りようかな、まあ、あてにすんな、ひど過ぎん借金」となります。好きなほうで覚えて下さい。
 さて、本題に入りましょう。
これを覚えたあと、それぞれの金属ごとの反応性を頭に入れる必要があるんですが、
「細かいところまでなかなか覚えきれない!」とか「この金属は塩酸に溶けたっけ?」とか、いつまでもすっきりしないことがあると思います。

さて、入試でよく出題されている項目を念頭にまとめてみましょう。
ここだけは絶対に押さえて欲しいという個所を太枠で囲っておきました。
 ①K、Ca、Na は水と即反応、溶けてH発生します。ですから、空気中でも即酸化されます。
 ②Ag、Pt、Au は空気中では酸化されません。錆びないし、加熱しても酸化されません。貴金属ですから!
 ③Mg は熱水と反応、溶けてH発生します。(熱水じゃないと反応しないのはMgだけです)
 ④(H)よりイオン化傾向が大きい金属つまり、「~まああてにすんな」までの金属は塩酸、希硫酸に溶けてH発生です。
 ⑤ ④のうちのPbだけは、塩酸、希硫酸に溶けにくいんです。溶けないと覚えましょう。(この時生じるPbCl、PbSOが水に不溶性で反応が進まないためです)
 ⑥(H)よりイオン化傾向が小さい金属つまり、「~ひどすぎん借金」までの金属は酸化力の強い酸でないと溶けません。(塩酸、希硫酸には酸化力ないから溶けないんです)
  ア)Pt、Au は、酸化力最強の王水だけに溶けます。
  イ)Cu、Hg、Ag は、硝酸、熱濃硫酸に溶けます。

※Cu(またはAg) + 希HNO → Cu2+(またはAg)  + NO↑
  Cu(またはAg) + 濃HNO → Cu2+(またはAg + NO
  Cu(またはAg) + 濃HSO → Cu2+(またはAg + SO
  (この3つの反応の完全な化学反応式は、2次試験受験の人は覚えて下さいね)
※王水は「1升3円」と覚えよう。濃硝酸と濃塩酸を、体積比で1:3の割合で混合して作ります。
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酸化剤還元剤の反応式のおぼえ方

 下の表は、酸化還元反応の反応式(半反応式)です。
重要なのでテストに出すよ。覚えておいてね! なんて言われてきたんですが・・・


 ただ、「覚えておいで!」と言われても、「え~! 何これ? 覚えられな~い!」となる気持ちは分かります。
では、上の式を、ぜひ覚えておきたいものに絞り込んでしまいましょう!
 
 <酸化剤>
  ① HO(酸性溶液中)
  ② MnO(酸性溶液中)
 
 <還元剤>
  ③ (COOH)
  ④  I-   ( KI )
  ⑤ HO
以上です!!
ハロゲン単体は陰イオンになりやすく、金属単体は陽イオンになりやすいので、これらの反応式はすぐに思い浮かぶと思います。(ClとNa、Mgなど)
また、濃HNO、希HNO、熱濃HSO、HSは別の考え方で式を作ることが出来ます。
Feのイオンは、 Fe2+ と Fe3+ (黄かっ色)がありますが、鉄Feがさびると黄かっ色になることから分かるように、最終的には Fe3+ に変化しやすいと覚えてしまいましょう!
もう一つ、④  Iですが、ハロゲン(Cl等)は陰イオンになりやすく酸化剤になるのが普通ですね。でも I はハロゲンの中では陰イオンになりにくく、単体に戻る 2I→ I+ 2eが起きやすいと覚えておきましょう。
さて、①②には共通点があります。
 O+ 2H+ 2e→ H
 O+ 8H+ 5e→ 4H
の部分です。 O と H で HO になるということと、この反応式の部分でeを受け取っているので酸化剤として働いているのが分かります。
また、③④にも共通点があります。
 Hの部分が、 → 2H+ 2e となっています。
この部分で eを与えているので還元剤として働いているのが分かりますね。
どうですか? こんな感じで覚えられそうですね!
あとちょっと気になるのは、 Cr2- 、 Sn2+ なんですが、これは第3部無機のところで触れましょう。
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